南章行(2019)『好きなことしか本気になれない。』ディスカバー・トゥエンティワン

〔つらつら前置き〕

「お前は何をやりたいのか、どうなりたいのか」って、定期的に問われる職場にいるのですが、正直わからん。んなこと言われても、すごくこの仕事をやりたくて就職したわけではないし、生活していければいいし・・・なんなら向いてない気がするけど仕事だからやってるし・・・という本音を押し殺し、表面的な返しでのらりくらり過ごしている私は、いつも「自分の好きなことってなんだ?」と思いながら生きております。

自分の好きなことを理解したいし、好きなことに向かっていけたらきっと楽しいし、今の仕事でも楽しい瞬間はやっぱりあるから、それが私の「好き」なのか?と。でもその割には本気になれないしなぁ、なんて、まぁ甘えてますわね。

「好きなことの見つけ方」みたいな本は、目に留まる度に流し読みするのですが、結局ピンとこずに終わる、みたいなことを繰り返している人間なので、この本も気になって読んでみました。

 

〔概要〕

 少子高齢化×人生100年時代、確実に働き続ける期間は長くなるなか、働き続けるためには「個人の力」をつける必要がある。「個人の力」を構成する要素はスキル・価値観・セルフリーダーシップ。自分で決めて、本気でやって、んでその結果を受け止めて初めて自分の決断ってどうだったの?ってことがわかる。決める判断の根拠は価値観であり、決めて・やって・評価するこのプロセスがセルフリーダーシップであり、そのプロセスの中でスキルもつくし、さらに価値観も磨かれる、というお話。

 

〔感想〕

ざっくり内容をまとめると概要に書いたような話なんだけども、これを南さんのこれまでの人生の転機とそこで行った判断の繰り返しと紐づけて描かれているので、すごく理解しやすいし、実感を伴った内容として腹落ちするものになっている。「自分のストーリーを生きる」というのがメッセージの一つになっていて、南さんの場合のストーリーがきっちり述べられているから、じゃあ私は?って考えやすいのかもしれない。

 

私は漫画やアニメ、小説とか物語が好きで、小さい頃はよくこの物語に私が紛れ込んだら?って想像をしていた。でも、どうせこの主人公たちのようにはなれないんだろうな、と思っていた。あんな風に辛い・苦しい・ハードル高い!とわかっている選択肢を選べないし、きっと楽な方に流れるだけだし、やっぱりお話の中の登場人物だからすごいんだ、って思っていた。んだけど、この本読んでから、「彼らは自分の価値観を持っていて、それに従って意思決定を行って、その結果起こることを自分で引き受けていた」んだなぁ、というのがふと浮かんできた。「彼らのようにはなれない」なんて考えていたのは10年以上前のような気がするんだけど、なんだか思い出した。

 

実は、私もなれるのかもしれない。特別なことではなくても、自分の価値観、もしかしたら信念と言ってもいいのかも。そういうものを言葉にしてみて、それに従って判断して、そして行動してみる。それが私のストーリーになるなら、もしかしたら私もあんな風になれるのかなぁ、なんて。

 

こういう本って、自分の考えをまとめてくれていて明確にしてくれるようなものと、自分の考えとは全然違う、もしくは考えてすらいなかったことで新たな気付きを与えてくれるものがあると思うんだけども、この本は私にとっては完全に前者。最初の読了後は、実は「決めたことを死ぬ気で一度やってみるか、ってモチベーションにはなったけど(それだけでもすごいけど)、新しい気付きはなかったかなー」なんて思っていた。のだが、読んで数日後くらいからなんだかじわじわ来ているきがする。考えを整理して、深めて、んで行動につなげるきっかけになった。と、いう意味で私にとってとても良い本でした。

 

〔備忘メモ〕

今回は感想がすべて。

あと、感想には全然関係ないけれど、南さんの結婚観は表現の仕方まで含めて私の考え方と完全に一致していてびっくり。

ほんとそう!ってテンションがあがった。笑